スロットルの遊びを無くせ!

「スロットルグリップには遊びが必要」とは様々な整備マニュアル本に書かれていますが、そこで示されている量は過大だと私は思います。まぁ、どんな人がどんなバイクを整備するのか知れたものではないので、保険をかけたい気持ちは理解できますが、それはそれで無責任という気がします。
大体バイクのカテゴリーや排気量に関係なく遊び量が一定なんて、そんな馬鹿げた話はありませんよ。
私が乗ってきたスーパーバイクやレーサーレプリカ系に限れば、遊びは殆どゼロ(具体的にはステアリングを左右に一杯切ってもアイドリングが変化しない程度)で構わないでしょう。「遊びが無いと危ない」なんて事を言う人がいますが、本当ですか?私は多過ぎる方がよっぽど危険と思います。スロットルを操作するという事は加速なり減速なりをするという意思があるわけですから、意思通りに反応しないバイクの方が余程危険でしょう?
だいたいスロットルを操作した時、特に開け始めの反応が急すぎると感じたとしても、それは遊び量の増減では何ら解決しません。解決策はスロットルをゆっくり操作するかプーリー径を小さく(ロースロットル化)して、ライダーの入力がバイクに少なめに伝わるようにする事です。

  • motoGP等で採用されているバリアブルスロットルシステムは、ギアポジションやエンジン回転数によって連動率を変化させる仕組みです。いずれはこんなシステムが市販車に採用されるんでしょう。 

前置きが長くなりましたね。
私はジムカーナをかじったせいか、スロットルの精度に関してかなりうるさいです。納車当時から1098のスロットルには何とかしたいという思いがあり、2007年冬から2008年春にかけて改修していた内容をここで一まとめに掲載します。
まずはスロットルグリップのガタ除去です。
ハンドルバーは規格で22.2mmと決まっていますが、それに被さる純正スロットルグリップパイプの内径はプーリー側で約24mm、エンド側で約23mmというテーパーです。
こんなに隙間があるので、当然ガタガタと音がするぐらい動きます。スロットルの精度を上げるには、このガタが一番の敵なのでスペーサーを噛ませて最低限度のクリアランスに詰めます。
左の画像はスペーサーを取り付け終わったところですが、取り付けただけでガタが無くなるような都合のいい材料はありません。薄板を何枚か重ねて、ヤスリとコンパウンドで納得行くまで仕上げます。
このスペーサーは右図の赤い部分に相当します。
パイプ全体に取り付けないのは加工を容易にするだけでなく、接触面積を減らして軽く操作できるようにする為です。理想を言えば120度ずつ3ヶ所に分割したスペーサーとしたいのですが、加工技術が伴わないので妥協です。
加工が終わったら通常通り組み立てて開側スロットルケーブルの遊び量を調整します。私の1098では自分以外が乗る事を想定しないので、自分好みにギリギリまで詰めています。具体的に書くと、ハンドルストッパーに当たった状態でアイドリング音の上昇がはっきり判る程度です。
この加工だけでもスロットルの印象はかなり改善され「スロットルと後輪が直結しているような」操作感が得られます。
しばらくすると今度はスロットル開度が気になり始めました。
スロットルと後輪の間にあった[もやもやした何か]が無くなり、駆動力のかかり具合が掴めるようになってくると、スロットル操作も自然と緻密になります。緻密にコントロールができるようになると、同じ手の動きに対してもうちょっとスロットルが大きく反応してくれたらなぁ~と思うように…。人間の欲はキリが無いですね。
そこで今度はハイスロットル化加工へと進みます。
やる事は非常に簡単かつ安直です。
RC46の時に行った加工と全く同じで、薄手のスチロール板を切り出し、スロットルパイプのプーリー部分に貼り付けるだけです。今回は0.5mm板を2枚使用し外径2mmアップ、およそ6%のハイスロットル化です(左画像左側)。
更にスロットルパイプの長さ方向のガタも気になったので対策をしました。
白っぽいドーナツ状の物はセルロイドの薄板を切り出したものです(左画像右側)。
気になった事をその場の思い付きと端材で対処した「ヤッツケ仕事」なので、かなり乱暴な作りです。まぁ、厚みが重要なのでこれでOK。見える物でもないし…。
で、スロットルホルダーに組み込むとこんな感じになります(左下画像左側)。
軸方向のガタが無くなっただけで他は全く変わっていないのに操作感が向上したように思うのはプラシーボ効果もあるのでしょうが、やっぱり気持ちがいいものですね。
ガタ除去加工ついでにスロットルワイヤー先端のタイコにもちょっとした加工物を取り付けたました(左下画像右側)。
スロットルグリップパイプにタイコを嵌める穴がありますが、タイコが穴より多少小ぶりなので開け始めるとタイコが穴の中で微妙に動いて「カチッ」と音がします。これが意外と耳障りだったのと、そのうち穴の方が削れて不具合が出てしまうかも…と思って作りました。まぁ、気休め程度なんですけどね。
更にスロットルホルダーの取付角も変更。
純正ではブレーキマスターの下をくぐってスロットルワイヤーが取廻されています。ワイヤーの曲がりが強くなりスロットル開閉が若干重くなるので、以前から何とかしたかった部分だったんですよ。
今回ガタ取り&ハイスロットル化作業の際に何度もホルダーを分解・組立していたので、ついでにもう一手間かけました。
作業としては非常に簡単で、ホルダーの回り止めボス用の4mm穴をあけ直すだけです。ギリギリを狙いすぎて危うく取り付けられなくなってしまう所でしたが、作業自体は3分で修了。でき上がってみればあっけないものです。
スロットルの引き・戻し共に軽くなったので、1098のスロットルの重さに不満がある方は試してみては?

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