ステアリングダンパーなんか外しちゃえ!!

WSBレーサー999Rから数多くのフィードバックを受けた車体は、改良より革新の方が近い程の進化を遂げています。一度1098に乗ってしまうと、あれほど気に入っていた749Rですら霞んでしまい、748に至っては誤解を恐れない言い方をすると遺物と感じかねない程です。
巷では日本車的と揶揄される事もありますが、[勝つ為のマシン]は絶対性能の高さは勿論、それを容易に引き出し得る操縦の簡易さが最高優先順位で求められ、テイストと呼ばれる部分は若干優先順位が低く、前二項を十分満足させた上で満たすべきものでしょう。

細かい話は追々掲載していくとして、今回は操縦安定性に大きく影響するステアリングダンパーについて触れたいと思います。
1098STDにはザックス製の非調整式が標準装備されています。
このステアリングダンパー、DUCATIのスーパーバイク系には標準装備ですが、一般公道で走る際に必要ないんじゃないかなぁ?…と以前から思っていたんですよ。ただメーカーが標準装備しているからには前後サスペンションのダンパー等他部分のセッティングにも絡んでいると考えていたので、あまり派手な事はしなかったんです。
今回の加工のきっかけはバイカーズステーション誌でお勧めセッティングが掲載された際、「公道~峠を範囲とするならステアリングダンパーは外すべき」という一文でした。これを見てちょっと冒険してみようかという気持ちになったわけです。
でも取り外してしまうとキーシリンダー周辺がすっきりし過ぎて寂しいので、全く機能しないモックアップというかダミーを取付ける事に。ところが標準装備のザックス製は非調整式の為、簡単には分解できません。ボディに穴を開けてオイルを排出する事も考えましたが、排出しきれずに周囲が汚れたり、塗装にダメージが発生するのは困るので躊躇していました。
そのまま数日が経過してふとジャンクパーツ箱を見ると、以前に748から外した同社製の物がある事に気が付きました。予備があると人間大胆になれるもので、ボディの一部を切断というちょっと乱暴な手を使って早速分解しました。

ステアリングダンパーの中身
上からシリンダーボディ、ピストンロッド、ピストン周辺小物(中央が樹脂製ピストンリング)、シリンダーキャップとピストン固定用のサークリップ。ピストンロッド中央、銀色のパーツがピストン本体で、その両側には直径1mmちょっとのオリフィス(オイル穴)があり、そこをオイルが通過する時の抵抗が減衰力になる訳です。
分解さえできてしまえば、後は簡単。
オイルを抜き取りパーツクリーナーでしっかり洗浄後、防錆用のシリコンオイルを吹いて組み立てます。
取り付け前に手で作動させてみると、オイルが入っていないので当然減衰力はありませんが、オイルシール分の僅かな抵抗があります。まぁ、本当に僅かですよ。
上はStanly号+748純正と1098一般量産車両の比較です。
748用と1098用はブラケット固定用の一段太くなっている位置が1.5cm程ずれているので、ブラケットを左右ひっくり返して取り付けています。それ以外は全く違和感無く取り付けできているでしょう?
実際に走行してみると、その違いは歴然。
今まで純正ダンパーは大した減衰力なんて発生させていないと思っていたのですが、実際はかなりのものだった事に気付かされました。その違いを例えるなら「ステアリングに羽が生えた感じ」というところでしょうか。
ブレーキリリースからのバンク開始時やS字の切り返しが今までとは全く違います。舵角の付き方が非常に素直で、リアルタイムかつダイレクト。このフィーリングを味わってしまうと、ダンパー付きはもっさりしていて気持ち悪いですね。
1098に限らずDUCATIのステアリングダンパー標準装備モデルは、サーキット以外では外してしまう事をお勧めします。
きっと気持ちいいですよ!!

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