1098のブレーキ周りをご紹介

1098はスーパーバイクレース参戦を大前提して開発されていますから強力なブレーキを装備していますが、ブレーキ単体で強力なだけではそれを生かす事はできないので、フレーム自体も999対比で170%もの縦曲剛性を与えられています。


鋳造モノブロックキャリパー
キャリパーはフレンボ製キャスティングモノブロックです。ピストン径は999系採用の前作と同様に同径ピストンが採用されています。ブレーキ理論の進化で面圧適正化が異径ピストンに頼らなくても可能になったんですかね。
パッドは前作の4ピストン+4枚パッドから2枚パッドに変更されています。面圧の最適化を推し進めた結果としての4枚化だったのですが、同時に熱容量とパッド面積の低下から頻繁な整備を要求するようになってしまいました。そのため結果的にキャリパーや749/999系の印象を良くない方向へ引っ張ってしまった事は否めません。
キャスティング(鋳造)とはいえ完全な一体ボディ、しかもセンターリブまであるのですから、キャリパー自体の剛性の高さは想像に難くありません。また剛性の高さを無駄にしない為、追加工を少なくする努力もされています。前後ピストン間の連結路は通常前後方向からのドリルによる貫通加工が一般的ですが、鋳造の際に使う中子作成の段階で連結路を用意し、鋳造が上がった段階ではすでに貫通済みとなっています。加工工程の削減によりコストダウンと液漏れの排除を同時に達成しています。

直径330mmの大径薄型ローター
ブレーキローターは直径330mm(749/999対比+10mm)のステンレス製で、17インチホイールのハブオンディスクとしては、ほぼ限界サイズを採用しています。
ブレーキの効力を拡大する手っ取り早い方法の一つがローター径の拡大です。
タイヤの外周径とローター径はフロントアクスルを支点とした梃子と考える事ができますから原理は簡単に理解してもらえると思いますが、そのままローター径を拡大するとバネ下重量が増えるついでにジャイロ効果も増えてしまうのが難点です。
1098ではディスクの厚みを749/999対比で-0.5mm、インナーとアウターを固定するピン数も10個→6個として軽量化を図っています。
固定ピン数が減ったことでピン一個あたりの負荷は66%増しになる為、接続部分は大きな力がかかる程強く結合する傾斜方式に改められています。

ディスクオフセットは歴代スーパーバイクと同じく小さく設定されています。オフセットが大きいと制動時にインナーローターが歪んでしまいタッチが悪化しますが歪まない様に強化すると重くなるので、バネ下を含めた軽量化を追求する1098では小さく設定されているのは当然なのでしょう。

999系に引き続き採用のセミラジアルタイプ
マスターシリンダーは749/999に引き続きブレンボ製のセミラジアルタイプですが、リザーバータンクが通常の別体式になっています。機能的には749/999の形態で問題ないのですが、アッパーカウル側面の開口部分をなるべく小さくするために邪魔なリザーバータンクを通常位置へ戻したようで、お陰でエア抜きは多少手間がかかるようになりました。
その他はまったく変わりなく、レバーもスイッチも互換性があり…というか仕上げ色が違うだけで同じ物です。
レバーのタッチはキャリパーとパッドどちらによる物かはわかりませんが、749/999に比べて硬質な印象です。ドライ路面で状態の良い路面ならガッチリ効くブレーキに酔い痴れる所なのですが、強力なだけに路面が荒れていたりウェットだったりすると盛大に効き余りが発生してしまいます。
このあたりはメーカーも認知しているらしく、純正アクセサリーに「ソフトタッチなパッド」がラインアップされています。

コメント

このブログの人気の投稿

HI-CAPA4.3のシアとハンマー周辺を細かく見てみる!

更にラジアルマスターを導入!

シングルディスク化をしてみました その1