シングルサイドスイングアーム

1098は749/999系の両持式から一転、片持式(プロアームはホンダの登録商標です)を採用しました。先々代にあたる916系でも採用されていた形式です。
とは言っても大径化を続けるエキゾーストパイプをうまくステップ裏に収める為採用されたもので、懐古趣味や見栄えで採用されたものではありません。
純正オプションのフルエキゾーストでは外径70mm、ワークスレーサーである1098F08では80mmに達そうかという太いエキゾーストパイプをスイングアームピボット、スイングアーム、ステップの3点に囲まれた狭い空間に収めるには片持式以外ではかなり難しいのではないでしょうか? 事実ワークスレーサー999Rでさえ右側スイングアームはステップ裏でかなり細く絞られていて捻り剛性が見るからに低そうでしたから、片持式化は順当な解決方法だったと思います。
スイングアーム自体の構造も大きく様変わりしました。
916系では一体のアルミ鋳造パーツでしたが、1098では鋳造パーツとプレスパーツを複雑に組み合わせたハイブリッドタイプです。スイングアームピボットとアクスルホルダーは鋳造、その間はプレスというのは外観から容易にわかりますが、1098予約特典の「1098Book」に掲載されているCGを見ると、もう一つ鋳造パーツが隠れています。スイングアームの底板を構成する鋳造品で、リブと肉抜きが組み合わさった複雑な形をしており、曲げ・捻り剛性を微妙に調整しています。スイングアーム側面の溶接ビードはこのパーツが顔を覗かせている部分です。
一見するとその太さから重く見えてしまいますが、メーカー公表データによるとバネ下重量では999Rと同等。捻り剛性では999Rの127%という事から「軽くて強い」と言えそうです。

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